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May 28, 2018

Book Review 『酔風船ーQ氏のいたずら日記』千々和久幸

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『短歌往来』(20093月号~18年1月号)に連載したエッセイから100篇を収めた。作者は、結社香蘭の代表を務めるベテラン歌人で、内容は社会批評から歌壇の現状や短歌の有り様まで、はっきりと言い切る態度で貫かれている。それは例えば、「時間のない時計」(09年12月号)における以下のの行。東直子、斉藤斎藤、穂村弘の作品を俎上に載せ、こう批評したことからも分かる。

時間のない時計ーこれが「現在短歌」の現在だとわたしは考えている。現在が過去や未来という重層的な連続性の中で捉えられることなく、それぞれの詩句は断片的で周縁的。いわばパッチワークの面白さ。日々の断片はあっても、人間や人生という部厚い主題は見えてこない。

もちろん、「現在短歌」を否定しているばかりではない。「誤読の愉しみ」(17年2月号)におけるこの行は、なかなか面白い。

真っ赤です真っ赤ですただ真っ赤ですさようなら明日ただ真っ赤です(佐川菜々美) ……「さようなら明日」というミステリアスなフレーズが曲者で、それがまるでオセロ・ゲームの一枚のチップ(と読んだ)のような働きをする。……あとで作者に聞くと、「あれは夕焼けを詠んだものです」ときた。

まさに一本取られたかたちだが、若い歌人とのやりとりを楽しむ余裕も持ち合わせている作者である。

(ながらみ書房 〒101-0061 東京都千代田区三崎町3-2-13 電話03-3234-2926 定価2,000円+税)

/////短歌人2018年6月号掲載

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