熱狂の日音楽祭2008第4日(5月5日)
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434 : ホールB5 15:00〜
堤剛(チェロ)
ミケランジェロ弦楽四重奏団
シューベルト:弦楽五重奏曲ハ長調作品163 D956
長大な弦楽五重奏曲。五重奏曲というと普通はヴィオラを追加した編成になるが、この曲はチェロを追加、ヴァイオリン2、チェロ2、ヴィオラ1という編成になる。チェロが違う旋律を弾き、ハーモニーを創りあげるところが聞きどころだが、ともかく長い。オーケストラ版もあるようだが、確かに長い演奏に耐えられるだけの内容はある。
しかし、普段はほとんど聴かない。ライブでもなかなか聴けない演目で、私の記憶にもない。ディスクでは、2,3枚もっているはずだが、どこにいったか見つからない。ゆえに予習なしで、今回の公演に臨んだ。
この曲は、当時のウィーンの文化を反映しているように思う。市民の意識が高まり、また東洋から、欧州辺境からもどんどん人や文化が入ってくる。そうした混沌とした歴史背景のなかで、多様な文化が混ざり合うダイナミズムが、シューベルトにこうした楽曲を書かせたに違いない。注意深く聴くと、東洋はともかく、スラブなどウィーンを取り囲むさまざまな民族の音楽的要素がちりばめられている。
いうまでもないことだが、このレベルの演奏家の手にかかると、この難しい長大な曲も聞き手に作曲家の意図が届けられる。第3楽章で多少あわないところがあったが、第4楽章のヴァイオリンのかなり難しい部分も、今井はじめ他の四人が息を合わせ、うまく乗り切った。十分、名演というレベルだったと思う。
それにしても、最前列に陣取っている常連たちの退席ははやい。次の自由席の公演に並ぶために急ぐわけだが、ほとんど拍手などしていない。クラおたは「暗い」と今まではいわれてきたが、これからは「脱兎」と呼ばれることだろう。
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445 : ホールC 16:30〜
バーバラ・ヘンドリックス(ソプラノ)
ルーヴェ・デルヴィンイェル(ピアノ)
シューベルト:ズライカI 「吹き通うものの気配は」作品14-1 D720
シューベルト:ズライカII 「ああ、湿っぽいお前の羽ばたきが」作品31 D717
シューベルト:「愛らしい星」D861
シューベルト:「夜と夢」D827
シューベルト:「若い尼僧」D828
シューベルト:「君こそ我が憩い」作品59-3 D776
シューベルト:「さすらい人の夜の歌」D224
シューベルト:「ミューズの息子」D764
シューベルト:「トゥーレの王」D367
シューベルト:「糸を紡ぐグレートヒェン」作品2 D118
この音楽祭に、著名な演奏者はそれなりにやってくるが、この人ほどのキャリアをもった声楽家が来たのは初めてではないか。国際的な慈善活動にも熱心な人で、今回もそのための来日ではないかと推察される。
公演が行われたのは、ホールCだったが、前半、声が出ず、若干不安を感じさせた。しかし、中盤以降は、すばらしい声量とコントロールで、シューベルトの歌曲の世界を堪能させてくれた。
「夜と夢」では、ゆったりとしたロマンチックな世界を、「若い尼僧」では、若い女性の心の揺れを、また「君こそ我が憩い」では、心からの願いを歌い上げた。アンコールは「鱒」と「アヴェ・マリア」を披露、この2曲も心のこもった歌唱で、心から感謝したい。デルヴィンイェルの端正なピアノも、とても良かった。すてきなコンサートだった。
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415: ホールA 19:00〜
ドミトリ・マフチン(ヴァイオリン)
アレクサンドル・クニャーゼフ(チェロ)
ブリジット・エンゲラー(ピアノ)
シンフォニア・ヴァルソヴィア
ヤツェク・カスプシク(指揮)
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲K.492
ベートーヴェン:ヴァイオリン、チェロとピアノのための三重協奏曲ハ長調作品56
昨年は、クニャーゼフばかり4回も聴いたが、今回は2回のみ。室内楽とコンチェルトの2曲である。
このコンチェルトは、「英雄」と同時期につくられたものだというが、どうも傑作とはいえないものである。しかし、主役のチェロをよく歌わせ、またベートーヴェンらしいピアノのポリフォニックな響きやヴァイオリンの華麗なフレーズも聞かれ、名手の手にかかると、もちろん十分に鑑賞に堪えられる楽曲であることは間違いない。
毎年思うことだが、ホールAはいかにも大きすぎる。ピアノはともかく、ヴァイオリンやチェロは、楽器本来の音色が聞こえてこない。しかし、マフチンもクニャーゼフも、そうした不利を感じさせない演奏だった。ピアノのエンゲラーは、既にアルバムを出している実力派で、ベートーヴェァ�鵑硫賛Г�しっかりと出していた。
開演前に、近くの店で、黒糖焼酎を2杯飲み、ほろ酔い気分で聴いた贅沢な公演だった。最初の楽章が終わった直後、あまりに気持ちよく、拍手をしてしまったくらいだ。この音楽祭では許してもらえるだろう。
オケ、指揮者ともポーランドの人たち。指揮者のカシプシクオペラ指揮者とのことで、確実な指揮が印象に残った。
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